|
|
……。
ッツ…。
バッツ…。
おいで…。
夢を見た。
親父とおふくろの夢だ。
爽やかな春風に吹かれ、俺は目を覚ます。
あたりは、広大な草原。
視界をさえぎるものは何一つない。
都会の、ごみごみした風景とは天と地ほどの差だ。
俺はバッツ。この世界をあてもなく旅している。
俺がまだ幼い頃、病気でおふくろは死んだ。
それを追うかのように、先月、俺を旅へと連れ出した親父も息を引き取った。
そんなためか、最近は両親の事が頭から離れない。
さっきの夢もそのせいだろう。
不思議な夢だった。
世界が真っ暗な闇で包まれ、俺は子供の頃の俺に戻っている。
そして、どこからともなく親父とおふくろが現れ、俺に向かって手招きするんだ。
俺は、どうしていいか分からずとまどうばかり。
そのうち、親父も、おふくろも、どんどん遠ざかってしまうんだ。
俺は追いかけるも、追いつく事ができない。
そして、親父もおふくろも、闇の中へと消え去ってしまう。
泣き叫ぶ俺。
そして……
ここで夢は終わった。
夢にしては、やけにくっきりと頭の中に残っている。
どこまでも広がる青空を見上げ、俺は軽く溜息をついた。
雲は、なにも変わることなく、悠々とたゆとうている。
気分を変えよう…
そう思った俺は、近くの泉へと向かった。
俺が泉のそばへ近づいたとき、向こう側になにか居るのをみつけた。
なんだろうか……黄色い…鳥?
親父から聞いたことがある。黄色い羽を持った飛べない鳥…チョコボだ。
「…クエッ?」
俺の視線に気付いたのか、チョコボは俺のほうを向いた。
見ると、体中傷だらけで、動く事も満足にできないようだ。
きっと、群れからはぐれて、肉食動物に襲われでもしたんだろう…
見ていられなくなった俺はチョコボに駆け寄り、
ありったけのポーションをそいつにくれてやった。
そして、なんとか動けるようになったチョコボは、振り向きもせずそのまま去っていった…。
その夜…
俺が焚き火のそばで眠っていると、俺の顔を舐めるものがいた。
そう、昼間のチョコボだ。
俺に礼でも言いに来たのだろうか。いや、ちがう。
行く当てがなくて困っているんだ…
「似たもの同士、か…」
俺はそっとチョコボを撫でてやった。
それが、俺とのちに「ボコ」と名付けたチョコボとの出会いだった。
|
|